あなたの犬は、あなたの命令に従いますか?
どんな状況下でも、犬があなたの教えを守ってくれる関係を作らないといざという時に犬を危険な目に合わせてしまうことがあります。
犬の意識の中には、人間のように「友達」という平行な感覚が無く「強い」か「弱い」かの上下関係しかありません。
あなたがボスとなり、犬に適切な命令を下すために必要な前提としてしつけを行う必要があります。
飼い主の責任の1つでもあるので、今回の記事を参考に失敗のないしつけを実践しましょう。
Contents
犬のしつけはいつからするべき?
犬のしつけは、家に迎えたその日から始まります。
そもそも躾とは「家のルールを教える事」です。
- トイレはここでしましょう。
- 階段は登ってはいけません。
- おいでと言ったらそばに来てください。
- 待てと言ったら静止しなさい。
犬が安全に生活するためにはしつけは必ず行わなければいけません。
生まれたての子犬にしつけをすることは難しいですが、目が明いている,自分で餌を食べることが出来る年齢であれば今すぐにでもしつけを行いましょう。
成犬からでもしつけは出来る?
本来であれば、学習しやすい子犬時代にしつけを行うことが理想的ですが成犬になった後でもしつけを行うことは可能です。
子犬にしつけを行う時よりも、根気が必要になりますが一貫性をもって学習させることでしつけが身に付きます。
時間もかかりますし、根気も必要になりますが飼い主であるあなたをボスを認識するまで続けることが大切です。
犬のしつけ「基本命令」
犬のしつけとして一番最初に教えたいのは「基本命令」です。
「待て」「お座り」などの基本命令を教える事で犬との信頼関係を強く結ぶことが出来ます。
「お座り」のしつけ方
お座り、とは「犬にその場で座らせる」命令です。
「待て」を命令する際に必要になる命令でもあります。
【お座りの手順】
ステップ1 犬の注意を引く
- 手におやつを持ち、犬に匂いを嗅がせます。
手に美味しいものを持っていると認識させましょう。
- ステップ2 犬の目線の上におやつを掲げる
- 手におやつを持った状態で、犬の目線よりも上におやつを掲げます。
おやつに釣られて犬は視線を上に移しますが、体制が辛いので自然と腰が落ちます。
(いわゆるお座りの状態になる)犬の腰が落ち、お座りの状態になったら手のおやつを与え犬を褒めます。
誉め言葉をかけながら、1,2回軽く頭をなでてあげることがポイントです。
この1連の動作を5,6回繰り返すことで「腰を落とすと美味しいものが貰えて飼い主さんに褒めてもらえる」と学習させることが出来ます。
- ステップ3 動作と命令を結びつける
- ステップ2で「腰を落とすと、良い事が起きる」と学習させた犬に命令を覚えさせます。
ステップ2の動作で、腰を落とした犬に向かって「オスワリ!」と呼びかけましょう。
そのままお座りの状態になったらご褒美を与えます。この動作を数回繰り返す事で、「腰を落とすと飼い主さんが【お座り】と言う、そしたらおやつが貰えた!」と学習させることが出来ます。
腰を落とす動作と、「オスワリ」の掛け声を結びつけることで最終的なゴールに繋がります。
- ステップ4 命令だけで動作を促す
- ステップ3まで問題なく進むことが出来たら、次は「命令だけで動作を促す」ステップへ入りましょう。
犬に向かって「オスワリ!」と呼びかけ、お座りをしたら褒めましょう。
おやつは与えなくて与えても良いですが、2回に1回,3回に1回と徐々に回数を減らしましょう。
(おやつを減らさないと、おやつが貰えないと命令に従わなくなります。)命令だけではお座りをしてくれない時には、ステップ3に戻りしつけを繰り返しましょう。
お座りのしつけ方は上記の通りです。
犬の本能をうまく利用したしつけ法ですが、犬にも個性があるので上記の方法では全く命令を覚えてくれない子もいます。
私の知人は、上記の方法を試してもお座りを覚えてくれなかったので犬が何気なくお座りの状態になった時に「お座り」と言うように心がけると1か月ほどで覚えたそうです。
方法は様々なので、その子に合った方法を実践して下さい。
「待て」のしつけ方
待て、とは「飼い主が待ての命令を解除するまで静止する」といった命令です。
犬が興奮した時になだめるために命令したり、危険が近くにある時に命令するなど犬の行動を制限する時に使用します。
【待ての手順】
ステップ1 お座りを命令する
- まずは準備段階として、犬にお座りを命令します。
待ては犬にじっとしてもらう命令なので、前提としてお座りが出来ている必要があります。
- ステップ2 お座りの状態の犬から離れる
- まずは、お座りの状態の犬から少し離れてみましょう。
1歩でも2歩でも良いです、少しだけ離れましょう。
犬が動かずにじっとしていたら、褒めてあげましょう。
2歩から3歩、3歩から4歩と徐々に距離を離します。
じっとしていたら褒める、といった流れを繰り返しましょう。
この動作には、飼い主が離れても戻ってきてくれるという意識の刷り込みの意味があります。
- ステップ3 命令と静止と結びつける
- 犬がマテの状態をある程度キープできるようになったら、次は命令と待ての状態を結びつけます。
今まで通り、お座りをさせてから「待て!」と犬に呼びかけます。
その状態で、ステップ2と同じように少しずつ離れてみましょう。
この動作を繰り返すことで、「動かない状態は【待て】なんだ」と学習させることが出来ます。
今まで通り、動かなかった時にはご褒美を与えてあげることが大切です。
- ステップ4 解除命令を教える
- ステップ3まで進むことが出来たら、次は解除命令を教えます。
お座りをして、「待て状態」の犬に向かって「よし!」と呼びかけてあげましょう。
両手を広げて、犬がこっちに来たら褒めてあげましょう。
この動作で「飼い主さんが【よし】と言ったら動いてもいいんだ!褒められた!」と学習させることが出来ます。
- ステップ5 待ち時間をランダムにする
- 理想的な待ては「命令後、飼い主の解除命令が来るまで忍耐強く待つこと」です。
犬がマテの状態に慣れてきたら、理想的な待てを覚えさせるために待ち時間をランダムにしてみましょう。
10秒待たせる→2分待たせる→30秒待たせる といったようにランダムな時間を待たせることで犬に忍耐力を学習させることが出来ます。
- ステップ6 どこでも命令を聞くように
- 家の中は勿論、お散歩中や目の前に他の犬がいる時等様々な場面で待ての命令をしましょう。
どこでも飼い主の命令に従うように、しつけを繰り返すことで外の危険から(車など)犬を守ることが出来ます。
犬のしつけ「トイレ」
家の中で好き勝手排せつをされてしまうと、後処理や臭いが大変なのでトイレもしっかりとしつける必要があります。
お散歩とトイレをセットにする飼い主さんも見かけますが、「散歩のとき以外は排せつしてはいけない」という意識が生まれる原因にもなるので好ましくありません。
家の中で排せつをしていい場所を教えてあげる為にも、トイレのしつけは犬を迎えたその日から実践して下さい。
ステップ1 犬の便意を汲み取る
- 犬にトイレのしつけをするためには、犬の便意を知りトイレの場所を教える必要があります。
犬の便意を感じやすい時間帯は、「寝起き」「運動後」「食後」です。
これらの時間帯に以下の行動が見られたら便意を催していると考えてOKです。- そわそわして落ち着きがない
- 後ろの足の動きがおごつかない
- お尻の匂いを嗅ぐ
- 周りの匂いをいつも以上に嗅ぐ
これら4つの行動は、便意を催しているサインです。
見かけたら、あらかじめ用意しておいたトイレスポットに犬を連れていきましょう。
(サークルなどで囲んでおくと更に良し)
- ステップ2 用を足している時に指示語を聞かせる
- 犬が用を足している時に、指示語を聞かせます。
「ワンツー、ワンツー」でも「チッチッチッチ」でも何でも良いです。
家族で統一して、指示語を犬に覚えさせることで声を出している時は安心して排泄しても良いと学習させます。
- ステップ3 褒美を与える
- 犬が所定のトイレで排せつを終えたら、ご褒美をあげましょう。
誉め言葉を与え、沢山撫でてあげましょう。
ご褒美が与えられると「この場所でトイレをすると褒められるんだ!」と学習させることが出来ます。
- ステップ4 自主的なトイレで合格へ
- 犬が指定した場所に自主的に出向き、排せつをするようになればトイレのしつけが終わります。
サークルを外しておくことで、犬が自由に出入りできるトイレになります。
犬は排泄をする場所を決める生き物なので、一度決まった場所で排泄すればよほどのことが無い限り決めた場所で排せつします。
手順は上記の通りですが、最初は犬がしつけを中々覚えてくれないと思います。
間違った場所で排泄をしてしまっても、怒らないでください。
高い声で起こってしまうと、犬が飼い主が喜んでいると勘違いしてしまいます。
誤った場所で排泄した現場に犬を連れて行っても、犬は悪い事をしたと理解することが出来ません。
もし誤った場所で排泄をしてしまったのであれば犬が見ていない場所でこっそりと後処理をして消臭をしておきましょう。
怒らなくても、上記の手順を参考にしつけを行えば自然とトイレは覚えてくれますよ。
犬のしつけ「噛む」
こちらの項目では「噛み癖」の治し方を紹介したいと思います。
犬の噛み癖は本能的なものなので、治せないと思っている人が多いですが、しっかりとしつけることが出来ます。
甘噛みの加減をしつける
じゃれている中で、犬は甘噛みをすることがあると思います。
幼い子犬や、子犬時代に甘噛みの加減を学んでこなかった犬は強く噛んでしまい飼い主にけがをさせてしまうことがあります。
こちらの手順に従って、しつけを行うことで加減を教えることが出来るので今すぐ実践しましょう。
ステップ1 歯に触れた時に声をあげる
- 犬が甘噛みをしてきたときや、痛みを感じた時に声をあげましょう。
少し大げさに高い声を出すことで、犬を驚かすことが出来ます。
声をあげた後には、遊びを中断しましょう。
- ステップ2 繰り返し
- 再度遊んでいる時に指に歯が当たったり、噛まれて痛みを感じた時には同じように声をあげて遊ぶのを辞めます。
無視をするのも良いかもしれませんね。
3,4回繰り返すことで「歯に肌が当たったら、飼い主さんが遊んでくれなくなった」と学習させることが出来ます。
子犬時代だけでなく、成犬になってからも犬は遊ぶことが好きなのでこのしつけは非常に効果があります。
家中の物を噛む
ソファやカーテン、靴など家じゅうの物を噛んでしまうわんちゃんの噛み癖を改善する方法を紹介したいと思います。
ステップ1 噛んで良い物とダメなものを用意する
- わんちゃんに噛まれたくないもの(靴やクッション等)と、噛んでも良い物(おもちゃ)を用意します。
噛まれたくないものには、ビターアップルなどの強い苦みを感じるスプレーをかけておきましょう。
- ステップ2 あえて噛ませてみる
- わんちゃんに、ビターアップルを吹きかけた噛まれたくないものを与えてみましょう。
噛んだ瞬間に苦みによって動きが止まり、その場を離れると思います。
動きが止まった時に、すかさず噛んでも良い物を与えましょう。
(ワンちゃん用のおもちゃが理想的です。)苦い物は噛みたくないものと認識し、噛んでも大丈夫なものを中心に噛もうと学習します。
- ステップ3 家じゅうの物にビターアップルを
- 噛まれたくないものを中心に、家じゅうの物にビターアップルを吹きかけましょう。
噛まれたくないものを噛んだ時の味によって、わんちゃんは「苦いものは噛みたくない」と学習し避けるようになります。
最終的に、噛んでも良い物(おもちゃ)を中心に噛むようになり噛み癖が治まります。
撫でようとすると噛まれる
ステップ1 ヘッドカラーを用意する
- ペットショップなどで販売されているヘッドカラーを購入しましょう。
しつけを行うにあたって、友人や家族などの協力者を一人用意します。
- ステップ2 犬に手を近づける
- ヘッドカラーを装着した犬の顔に近づけます。
噛み癖のあるわんちゃんなら、噛もうとすると思うので噛まれそうになったらヘッドカラーを引いてもらいます。
口の圧力がかかり、ワンちゃんの口が苦しくなり適度な不快感を与えることが出来ます。
- ステップ3 不快感が嫌で噛まなくなる
- ステップ2を5回ほど繰り返すと、「噛もうとすると口が気持ち悪くなる」と学習します。
噛まずに頭を撫でさせてくれたら、しっかりとご褒美をあげましょう。
おやつをあげても良いですし、目いっぱい褒めてあげてもOKです。
顔に手が近づくことは嫌な事ではないと、教えてあげることが大切です。
犬のしつけ「無駄吠え」
来客の時や、窓から人を見かけた時、街中で知らない犬を見かけたとき等、吠えて欲しくない時にワンちゃんが吠えてしまう事良くありますよね。
シェルティーなどの犬種は、吠えやすいので仕方がないと言えば仕方がないのですがある程度は節度を持ちたいところです。
こちらの項目では、無駄吠えをしつける為の手順について紹介したいと思います。
要求吠え
散歩に行きたい、おやつが欲しい、ご飯が欲しい。
これらの要求を叶えるために訴えかける吠え方は以下の手順でしつけることが出来ます。
ステップ1 要求吠えをする
- 犬が要求吠えをする時には、「吠えれば飼い主さんが願いをかなえてくれる」という考えがあります。
まずはこの考えを覆すために、要求吠えをしても無視しましょう。
その場を立ち去るのも良いですね。
- ステップ2 罪悪感を感じる必要はない「無視」
- 犬が吠えたら、無視を徹底しましょう。
犬に構ってあげるという褒美を、犬から奪うことで「吠える事」が嫌なことになります。
可哀そうに見えたとしても、罪悪感を感じる必要はありません。
愛犬のためを思って、「吠えたら無視」を一貫しましょう。
- ステップ3 黙ったら褒美をあげましょう
- 犬が要求吠えを辞めて、黙ったらご褒美をあげましょう。
無視を解き、褒めながら撫でてあげてください。
おやつを与えて、良い事をしたと覚えさせるのも良いかもしれませんね。
- ステップ4 プルーフィングを実践して要求吠えを無くす
- キッチンや寝室、外など様々な場所でステップ1~3を実践しましょう。
場所をランダムに選び、しつけを行うことで自宅以外でもしつけに対応できるように学習させます。
無駄吠え
ステップ1 ヘッドカラーを使って無駄吠えのしつけ
- 散歩中や来客時など、吠えなくても良い時に吠える犬にはヘッドカラーを使ったしつけが有効です。
お散歩の時だけでなく、家の中にいる時でも必ずヘッドカラーを装着しましょう。
無駄吠えを無くすために必要な手順なので可哀そうだと思う必要はありません。
- ステップ2 吠えたらカラーを引く!
- このしつけは非常にシンプルです、無駄吠えをしたらヘッドカラーを引いてください。
ヘッドカラーを引くと、犬の口周辺に不快感を与えることが出来ます。
複数回繰り返すことで「吠えたら口が気持ち悪くなったから吠えたくない」と学習させることが出来ます。
- ステップ3 プルーフィングを実行
- 吠え癖がヘッドカラーによってある程度治すことが出来たら、家の外や車の中など様々な場所でしつけを行ってください。
「どんな場所でも、無駄吠えをしたら口が気持ち悪くなる」と学習させることで、散歩中でも無駄吠えが減らすことが出来ます。
犬のしつけで叩くのはNG!
ここまで、4種類のしつけについて紹介してきましたがすべてのしつけに共通して注意して欲しいポイントがあります。
それは、しつけに失敗した時の「叩く行為」です。
犬を叩いてはいけません。
- 犬が所定の場所以外でトイレをした時
- 噛んではいけないものを噛んだ時
- 無駄吠えが中々治らない時
イライラすることもあると思います。
思い通りにしつけが進まずに、焦ることもあると思いますが犬を叩いてはいけません。
あなたがなぜ起こっていて、なぜ叩かれたのかを犬は理解することが出来ません。
怒りたくなる気持ちはわかりますが、犬のしつけを行うのであれば根気強く同じことを繰り返す必要があります。
中々しつけが上手くいかなかったとしても、今日はここまでと割り切って次の日のしつけに期待しましょう。
上手くいった日にはご褒美を与えよう
新しい事を覚えた日や、しつけが上手くいった日には愛犬にご褒美を与えましょう。
もちろん、その場その場でおやつを与えるのも良いのですがご飯の質を上げるのも良いですよ!
わんちゃんが大好きな馬肉を、頑張ったご褒美として与えてみませんか?