猫の誤飲は獣医泣かせ!正しく対処で猫を救おう

  • ペットボトルのキャップを飲み込んだ
  • 糸を食べてしまった
  • よくわからないけど体調が悪い

猫の誤飲は、日常に潜む死の危険です。
飲み込んでも問題のない物から、飲み込んでしまうと死に至る可能性のあるものまで危険性はピンキリです。
そこで今回は、誤飲したときの症状・誤飲しやすいもの・家庭でできる対処・治療方法について解説したいと思います。

猫の誤飲チェックリスト

体調が悪そうな猫の画像
このような症状がある時、猫ちゃんが何かを誤飲した可能性があります。

  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 1日に何回も吐く
  • 便がだんだん少なくなる、便が出ない
  • お腹をまるめてうずくまっている
  • お腹を触ると力を入れ嫌がる
  • 呼吸がおかしい

3個以上当てはまれば誤飲の可能性があります。
出来るだけ早く動物病院を受診して異物が胃や腸の中にないか、検査してもらいましょう。

猫が誤飲しやすい物まとめ

注意を促すCAUTIONマーク
猫が誤飲しやすいものには次のようなものがあります。

【ゴム】
床に落ちている輪ゴム、ヘアーゴムなどで遊んでいるうちに飲み込む事がありますので、床に落とさないように気をつけましょう。
使い捨てのゴム手袋を噛んで食べてしまうこともあります。

【ビニール】
スーパーやコンビニで買い物をした時の袋や、ビニール製の空き袋などカサカサ音のするものをおもちゃにして遊びながら食べてしまう事があります。
するめや竹輪が入っていた袋などは猫の好む匂いがするので捨てるときに要注意です。
蓋がついているごみ箱に捨てる、身の回りのビニール類は手の届かない場所にしまうなど、徹底した対処を行いましょう。

【ひも類】
毛糸、荷作りひも、リボン、おもちゃのひも。
家庭内にあるひも類は、飲み込むと非常に危険です。
舌にひっかかってしまったり、腸にひっかかり絡んでしまうことがあります。
(詳しくは後ほど)

【おもちゃ】
ボール・ぬいぐるみ・ロープ・ネズミなどの様々なおもちゃが販売されています。
よく誤飲してしまうのが、ぬいぐるみについているボタンや中身の綿、ほどけたロープ、ネズミのおもちゃなどです。
しっかりした作りのものでも糸が切れてしまうことがありますし、噛んでちぎれたものを食べる場合もあります。

【首輪の飾り】
猫の首輪には鈴がついていることが多いのですが、この鈴を飲み込んでしまうことがあります。他に、迷子札やネームタグも丸ごと飲み込んだり半分咬みちぎって飲み込むことがあります。首輪が緩くなりすぎないように注意してください。

【服】
セーターや靴下、タオル、手袋などを誤飲することがあります。舐めたり、噛んだりすることでけば立った繊維を食べてしまうことがあります。特にウールを好んで舐め、食べてしまうことを「ウールサックリング」といいます。

【飼い主が想像もしないもの】
猫にとって有害な食べ物、医薬品、押しピン、安全ピン、ホウ酸団子、花などの植物、植木鉢の土や砂利など思いもよらない物を食べることがあります。
「これは食べないだろう」という常識、思い込みは猫には通用しません。

猫が誤飲した時に飼い主が出来る4つの対処法

抱かれている猫の画像
猫が誤飲した時、飼い主さんは以下の4つの対処を行うことが出来ます。

動物病院へ連絡

誤飲したかどうかわからないけれど、猫に異変が見られる時には、まず動物病院に連絡してください。

そして次のことを伝えましょう。

  • いつから
  • 何を飲んだか
  • どのくらい
  • 吐き気の有無。あるなら頻度と症状

動物病院へ連絡し、「自宅で様子を見るように」と言われた時には以下を観察すると次の診察に役立ちます。

  • 食欲が変わらずあるか
  • 元気はあるか
  • 食事後や水を飲んだ後に嘔吐がないか
  • お腹を触ると力を入れないか
  • 便の量や回数はいつも通りか
  • 便の中に何か混じっていないか

誤飲したかも知れないと思った日から、1週間たっても体調不良などがなければ誤食していない場合がほとんどです。

誤飲したときに絶対にやってはいけないこと

基本的に、誤飲をした時には飼い主さんが直接何かを行うことは出来ません。
様々な症例の中でも危険性の高い「ひも類」に関しては特に注意が必要ですので、以下をご熟読下さい。

【1.お尻の穴から出ているひもは絶対に引っ張らない】
お尻の穴から出ているひもを無造作に引っ張ると、ひもが絡みついている腸が裂けてしまいます。
絶対に引っ張らないで、そのままの状態で動物病院で診てもらいましょう。

【2.口から出ているひもは絶対に引っ張らない、切らない】

お尻と同様に、口からひもが出ている時にも絶対に引っ張らない、切らないようにしてください。
舌に絡みついている場合があり、無理に引っ張ると舌が切れたり、裂けることがあります。
また、外に出る猫の場合、川や海に落ちている釣り針付のテグスを間違って唇・口の中にひっかけることがあります。
最悪飲み込んでしまった場合は喉や食道に針がひっかかることがあります。

テグスを引っ張ると痛みも激しく、ひっかかっている場所が裂けてしまうこともあります。
特に喉や食道にひっかかっている場合は重症になります。
口からひもやテグスが出ている場合は、そのままの状態で動物病院で診てもらいましょう。

夜間・休日に診てもらえる病院を探しておく

心配なことがある場合、早めに受診することが大切です。
もう少し様子を見ようと思っているうちに症状が急変してしまう事もあり得ます。
かかりつけの動物病院に救急時の診察は可能かどうかの確認をしておきましょう。
かかりつけ以外にも急変が起きた時に診察してもらえる病院を通える範囲であらかじめ探しておきましょう。

応急処置(条件アリ)

夜間・休日に誤飲してしまったが動物病院が開いていない場合は次の対処法を行ってください。
自宅で吐かせる場合は、命にかかわることがあるので次の点を必ず守ってください。

≪応急処置をしてはいけないケース≫

  • 飲み込んで1時間以上たっている場合
  • 飲み込んだものが何かわからない場合
  • 針や押しピン、割れたプラスチックやガラスなどの鋭利なもの
  • 強酸、強アルカリのもの(電池、殺虫剤、農薬、漂白剤etc)
  • ショック状態、昏睡、痙攣、意識がない場合

以上に当てはまらない時のみ、応急処置をしてください。

【応急処置の方法】過酸化水素水の投与

過酸化水素水は安易に使わず、投与量をしっかり守って救急時のみに使用してください。
3%の過酸化水素水を体重1kgたり1mℓ飲ませます。

※過酸化水素水とは
別名オキシドールと呼ばれる劇物です。
薬局で購入する事が出来ます。
シュワシュワと酸素を発生させるため、嘔吐を促進させます。

体重3㎏の猫の場合は3mℓです。
体重10㎏の猫の場合は10mℓです。

スポイトなどを使い、猫に適量を飲ませ嘔吐を促します。
15分経っても吐かなければ同じ量を飲ませます。
2回飲ませても吐かなければ、それ以上の投与はやめましょう。

過酸化水素水は濃度が濃かったり、飲ませすぎると消化管を強く傷害します。
危険を伴いますので、動物病院がどうしても見つからない場合の応急処置として行ってください。
応急処置の後、必ず動物病院で診察を受けてください。

病院で行われる治療

病院では以下の治療が行われます。

  • 薬で吐き出させる方法
  • 内視鏡または手術で取り出す方法

症状といつ誤飲したかによって治療法が変わります。

薬で吐き出させる方法について

飲み込んですぐの場合は催吐処置(薬を投与して吐かせる処置)を行います。
この際には、次の薬を使用します。

  • 過酸化水素水
  • キシラジン
  • トラネキサム酸

これらは原則、獣医師が行う治療法になります。飼い主さまの判断で行わないようにしてください。
(過酸化水素水を用いた方法は例外とする)
催吐処置で異物を吐いてくれれば治療は終了で、内視鏡や手術は回避できます。

内視鏡・手術で取り出す方法について

内視鏡や手術を選択するのは以下の場合です。

  • 誤飲してから時間が経過し、異物が腸内にある場合
  • 異物が大きすぎる場合
  • 吐かせたら危険な場合

内視鏡と手術の選択は、「異物のある場所」「異物の大きさや種類」などによって変わります。
まず、レントゲン検査や消化管造影検査を行い異物の大きさや位置を確認してから内視鏡か手術、どちらで行うのかを決定します。
誤飲してから時間が経過している場合は全身状態がよくない場合が多く、最悪の場合亡くなることもあります。

誤飲についての獣医からの一言

猫と一緒に暮らしていると「えっ?」と思うものを口にしている場面に遭遇します。
私たちが食べ物ではないと思っているものを食べてしまったり、私たちにとって問題がない食べ物が猫にとって危険な食べ物であることもあります。

誤飲から、時間が経過すればするほど命が危険にさらされます。
いつもと様子が違う場合はすぐに動物病院へ連絡を。
猫が誤食しやすいものは猫の身近な場所に置かない、落とさないように注意してください。

 
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