犬のアレルギー症状別の対策と治療法

犬のアレルギー症状別の対策と治療法
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いぬアイコンこの記事はわんちゃん用の記事です

犬のアレルギー症状が出ると、皮膚が赤くなり、痒みが発生します。
症状が悪化するとだんだん毛が薄くなり一部分が脱毛してしまうこともあります。

年々アレルギー症状で悩む犬たちが増える傾向にありますが、アレルギーの原因にはどのようなものがあるのでしょうか?
今回の記事では、あなたが知りたいと思っている検査方法や治療法についても解説します。

アレルギーとは

生き物の体には外界から侵入してくる有害なものから体を守るために免疫反応があります。
通常であれば、口・鼻・皮膚などから侵入したものを、免疫をつかさどるリンパ球・マクロファージ・白血球などが処理し、悪影響が出ないようにしています。
(ウィルスや細菌等に対する防衛反応ですね)

正常な免疫は上記のように、害のあるものにしか反応しません。
ところがこの防衛反応が過剰になってしまうと「免疫が体に害のない物まで攻撃」してしまいます。
体にとって害がないものも攻撃してしまうと炎症性物質が多く放出されてしまい「痒み」や「下痢や嘔吐」などの症状が出てしまいます。

このように免疫反応が過剰な状態をアレルギーと言います。

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犬のアレルギーの種類


犬のアレルギーにはアレルギーが出る時間、症状などを基準に大きく分けて4つに分類することができます。

反応の型 反応の起こり方 主な疾患
1型(即時型) 以前侵入したアレルゲンによって作られた抗体が、同じアレルゲンの侵入に反応して一気に放出されることによって起こるアレルギー ・アトピー性皮膚炎
・食物アレルギー
・アレルギー性鼻炎
など
2型(細胞障害型) 抗原に対して作られた抗体が赤血球などを破壊して起こるアレルギー ・自己免疫性溶血性貧血
・薬剤アレルギー
など
3型(免疫複合体型) 抗原と抗体による「免疫複合体」が血中を流れ腎臓や肺などの血管に付着し、炎症を起こすもの ・腎炎
・関節炎
・エリテマトーデス
・リウマチ
など
4型(遅延型) 抗原がリンパ球に作用し炎症性物質が放出され痒みや、炎症などを起こすもの ・アトピー性皮膚炎
・臓器移植の際の拒否反応
など

特に犬の皮膚の痒みで問題になるのは1型アレルギー4型アレルギーです。
以前の動物病院業界では、1型アレルギーを痒みの原因として第一に考えていましたが、最近では4型も併せて検査するようになっています。

皮膚に起こるアレルギーの原因と症状

犬のアレルギーを知る上で、まずは原因と症状について理解しておきましょう。

アレルギーの原因

皮膚のアレルギー症状は「食物」「環境」が原因になることが多いです。
食物が原因になるアレルギーの場合は「タンパク質」が有名です。
(お肉やお魚です)
「ジャガイモ」や「米などの穀類」「大豆などの豆類」なども原因に上がることが多く注意が必要です。

環境というと身の回りのもの全部になってきますが、中でも「花粉」や「ハウスダスト」「イエダニ」が多くみられます。
アレルギーの原因になりやすい食物や環境の要因ですが、血液検査などで容易にわかるようになってきました。
少々高額な検査ですが、皮膚の痒み等がなかなか改善しない場合は調べてみるのもよいでしょう。
検査などについては「アレルギーの検査の方法」の項にて後述いたします。

交叉反応(こうさはんのう)

最近話題になっているのが交叉反応です。
交叉反応とは「Aという食べ物に対してアレルギー症状を起こす場合は、Aと似たBにもアレルギー症状を起こす」というものです。
免疫反応が起こるときには抗体が抗原を認識しますが、認識する場所をエピトープと言います。

このエピトープ部分とその周辺の構造が類似していたり、同一である場合にはそのほかの部分が異なっていても「同じもの」というように認識してしまいます。
そのため、同じ種やまったく異なる種であっても同じものと認識してしまい、アレルギー反応が起きてしまうことがあります。

例えば、小麦にアレルギーがある場合は、「大麦・ライ麦・トウモロコシ・米など」にもアレルギーを起こす可能性があります。
米にアレルギーがある場合は「小麦・大豆・ゴマなど」にもアレルギー反応を起こします。
このようにアレルギー検査で特定のものがアレルゲンだと判明しても、注意しないとそれに類するものに対してアレルギー反応が出てしまうケースが増えています。

犬に多いアレルギーの種類

アレルギーというと一般的に「皮膚が痒い」というイメージがありますが、アレルギーは皮膚に起こるだけではありません。
皮膚以外に「消化器のアレルギー」も多く、治りにくい下痢や嘔吐は消化器のアレルギーかもしれません。
他にも、呼吸器系のアレルギー、アナフィラキシーなどもありますが、今回は皮膚のアレルギーについて解説していきます。

アレルギー検査の方法

アレルギーの検査にはどのようなものがあるのでしょうか?

アレルゲン特異的IgE検査

この検査では、犬のアレルギーの原因になるもの(アレルゲン)を血液で調べることができます。
検査を行う検査機関によって内容や項目数が異なりますので、よく確認したほうが良いでしょう。
検査結果は「陽性・要注意・陰性」などの3段階で表示されます。

陽性
強いアレルギー反応が出ている、またはアレルギー反応が出る可能性が高い
要注意
アレルギー反応が起こり始めた状態
陰性
アレルギー反応が出ていない状態

要注意になったアレルゲンに対しては陽性と同じと考え避けておかないと、いずれ陽性になる可能性が高くなります。

リンパ球反応検査

リンパ球反応検査とは、食物アレルギー専用の検査で、食べ物に対して異常に増殖するリンパ球の有無を検査します。
この検査ではリンパ球を介するアレルギー反応があるかないかを見るもので、IgE検査とは全く別のものになります。
IgE検査は1型アレルギーの検査なので、接触して比較的早く痒みなどの反応が出ます。
人の花粉症などがこのアレルギーに入ります。

リンパ球反応検査は4型アレルギーの検査なので、接触してから何らかの症状が出るまでに時間がかかります。
今までのアレルギー検査ばIgE検査が主流でした。
しかし、IgE検査で陰性の場合でもリンパ球反応検査では陽性の場合があるので、今後のアレルギー検査はIgE検査とリンパ球反応検査両方が行われることが予想されます。

犬のアレルギー症状の治療方法

犬のアレルギーの治療方法には5通りあります。

  1. 投薬
  2. アレルギー用フードに変更する
  3. 減感作療法
  4. シャンプー
  5. 環境改善

1.投薬
アレルギーの治療には痒みや炎症を抑える「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」「免疫抑制剤」「抗ヒスタミン薬」などが使用されることが多いのですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

治療法 メリット デメリット 有効率
ステロイド(副腎皮質ホルモン) ・即効性がある
・有効率が高い
・安価
・副作用が強い
・投薬をやめると再発する
ほぼ100%
免疫抑制剤 ・ステロイドより副作用が少ない
・効果が出るまで時間はかかるが、だんだん減薬できる
・即効性がない
・免疫を抑制する
・高価
・投薬初期には消化器症状が出やすい
約70%
抗ヒスタミン薬 ・副作用が少ない
・安価
・効き目が弱い 約30%
オクラシチニブマレイン酸塩製剤 ・副作用が少ない
・比較的即効性がある
・消化器症状が出る場合がある
・投薬期間の制限がある
約80%

薬の効果、成果には個体差があります。
かかりつけの動物病院でしっかり診断してもらい、獣医師と相談の上で薬の選択をしましょう。

2.アレルギー用フードに変更する
アレルギー用のフードは多くのメーカーからたくさん販売されています。
アレルギーフードにも種類があり、どれでもよいわけではありません。

  • アレルゲンと認識されない原材料を使用したもの
  • アレルゲンと認識されない分子サイズまでタンパク質を小さくしたもの
  • 今まで食べたことのない種類の材料を使用しているもの
  • 皮膚のコンディションをあげるような材料を使用しているもの

以上の4種類に分類されます。

アレルギーだから「アレルギー対応」の表示のあるフードにしているのに
痒みが変わらないというケースが時々ありますが、何に対してアレルギー症状を出しているかによってフードの選択は大きく変わります。

アレルギー対応のフードを与えても、原材料に鶏肉が入っていれば鶏肉に対してアレルギーのある犬の場合、症状が良くなるどころか悪化します。
アレルギーの原因は食べ物だけではないので、食事アレルギーではない場合には有効でないこともあります。

食べ物に対してのアレルギーの有無を調べる方法には「IgE検査とリンパ球反応検査」を行う方法と、「除去食試験」を行う方法があります。
除去食試験とは、アレルゲンにならない原材料(おそらく今まで食べたことがないようなタンパク源を使用する)を使用したフードを最低1か月間食べて痒みが減少するかを確認します。

この間はほかの食べ物は絶対に与えないようにします。
与えてしまったらスタートからやり直しになりますので注意が必要です。
痒みが減少したら食べ物が関係するアレルギーとわかりますし、痒みに変化がなければおそらく食べ物が原因ではないことがわかります。

3.減感作療法
減感作療法はアレルゲンに少しづつ慣れていって痒みをコントロールする治療方法です。
アレルギー検査を行い何に対してアレルギー反応が出ているのかを特定し、濃度の薄い抗原から順番に注射することで体をその抗原に慣れさせていきます。
現在、コナヒョウダニに対する減感作治療用の注射が販売されています。

4.シャンプー
体表に付着するアレルゲンやアレルギー症状を、助長する細菌やマラセチアなどの微生物を体表から洗い流す目的で行います。
薬用シャンプーは通常の汚れを落とす目的のシャンプーとは異なり、セラミドや保湿成分の入ったもの、オーツなどの痒みを抑える働きのあるものなどが成分として含まれています。

痒みの原因によって使い分けることができますので、かかりつけの動物病院に相談したうえで使用してください。

5.環境改善
花粉など環境中にあるものに対してアレルギーがある場合には、散歩のコースを変えたり、花粉があまり飛ばない時間帯(早朝)にお散歩をするように心がける、空気清浄機を利用するなどの環境改善が必要です。

また、アレルギーによる皮膚の症状とは別に、犬の皮膚病についても説明していますので、こちらの記事も合わせて参考にしてみてください。

【獣医執筆】犬の皮膚病の症状と原因とは?シャンプーと薬も上手く使おう

2017.05.04

まとめ~原因を特定して治療しよう~

アレルギー症状は痒みが強く、アレルギーの原因になるものを特定しないと繰り返す傾向があります。
まず、食事が関係するのかしないのかを見つけましょう。
症状が進行しこじれてしまうと、様々な要因が重なりどんどん症状が悪化してしまいます。
早めに原因が何かを見つけ、治療することが大切です。

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