マダニ感染症は野良猫のせい?感染した後の症状を致死率とは

ねこアイコンいぬアイコンこの記事はわんちゃん・ねこちゃん用の記事です

皆さんはマダニという寄生虫を知っていますか?
動物の皮膚などに寄生し、吸血することで生命活動を行う生物ですが
このマダニが、ある事件によって一躍有名になりました。

ペットを飼っている人であれば知っている知識かもしれませんが
知らない人もいると思うので今回はマダニについて知識を紹介します。

話題の理由となったマダニ感染症による死亡事故に関しても
少しお話したいと思うのでペットオーナーさんは是非最後まで読み進めてくださいね。

マダニ感染症による死亡が公表された

2017年の7月24日に厚生労働省が、マダニ感染症(正式名所は重症熱性血小板減少症候群)が
哺乳類を介して人に感染し初めて死亡したことを公表しました。

死亡した西日本在住の50代女性は、野良猫を保護仕様とした時に
噛まれてしまい重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染したと思われています。

SFTSが哺乳類を介して人間に感染し死亡したのは
世界で見ても初のケースでした。

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マダニとは

こちらの項目ではマダニの生態とその一生について紹介し
犬や猫、人間とどのような関係性があるのか知って頂こうと思います。


マダニはクモ綱ダニ目マダニ亜目マダニ科の節足動物の総称であり
家などで見かけるダニとは全くの別種類です。

アレルギーの原因となるダニとは別方向で危険なマダニは
感染症による死の危険性も秘めているのです。

マダニの特徴

マダニは通常のダニと違い家の中ではなく
山などに生息し、様々な動物の皮膚に寄生します。

葉っぱの裏や木の枝などの様々な場所で
寄生する動物を待ち構えています。

体長は2mm~3mmほどあり肉眼でも確認できるほどの大きさがありますが
普段からマダニに注意して行動しないと
山などに行った時にはいつの間にか規制されていることが多いです。

マダニは動物の皮膚に寄生後、鋭い口で噛みつき
コンクリートのような体液で口と皮膚を固定し
時間をかけてゆっくり吸血します。

吸血後には元々の体長よりも肥大化することが多く
体長が元の100倍以上になることも珍しくありません。

マダニから感染する病気

マダニは様々な感染症の原因となる事があり
マダニからの直接感染や哺乳類などを介した関節感染の可能性があります。

マダニが原因で感染および発症するおそれのある病気は以下の通りです。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群は重症熱性血小板減少症候群ウィルスを保有するマダニが
人間に寄生するか、重症熱性血小板減少症候群ウィスルに感染した動物から
人間に菌が感染する事によって発症する感染症です。

潜伏期間は6~14日と言われており、発症した際には
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状に加え
頭痛や筋肉痛、意識障害などの神経症状が現れます。

致死率は21%程と呼ばれており、5人に1人が死亡しているということになります。
致死率が高いため、山にキャンプに行く機会がある人や
自然の中を探索する機会のある人はマダニに感染するリスクを減らす必要があります。

ライム病

ライム病はライム病の病原菌を持つマダニがヒトに寄生し
菌が体内に侵入し感染した際に発症する病気です。

数週間以内の潜伏期間後に、寄生部分を中心とした特徴的な紅斑が現れ
完全に症状が現れるステージ1では頭痛、発熱、倦怠感、関節痛などのインフルエンザに近い症状が現れます。

ステージ2では病原菌が体全体に拡散し、皮膚症状や神経症状
(髄膜炎や末梢性顔面神経麻痺)等の様々な症状が現れます。

ステージ3では慢性萎縮性肢性皮膚炎や慢性関節炎、角膜炎などの症状が続きます。

人や感染量によって症状に大きな変化が現れますが
日本では使用が許可されているワクチンが存在しないので症状を和らげるための治療しか行うことが出来ません。
歌手として有名なアヴリル・ラヴィーンも感染した際には
「もうだめかと思った」と本人がコメントするほどの重症状に悩まされていました。

日本紅斑熱

日本紅斑熱は1984年に発見された新興感染症です。
日本紅斑熱の原因菌を持ったマダニに寄生され感染することによって発症する病気です。
名前に日本という名前が入っているのは、日本以外で発症が見られていない為
日本の風土病であるという見解がある為です。

感染した際の症状は寄生部分の腫れ、発熱発疹などのカゼのような症状に加え
頭痛や関節炎、筋肉痛などのインフルエンザに近い症状が現れます。
潜伏期間は2日から1週間と、他の感染症に比べて短いです。

マダニと野良猫の関係性

マダニの生態とマダニが原因で発症する感染症について紹介しました。
それらを踏まえた上でマダニとペットの関係性について紹介したいと思います。

今回公表された内容にも絡めてお話したいと思うので
感染症に関する知識を身に着ける為にも必ず読んでくださいね。

野生動物だけでなくペットも感染する

森林や公園などの植物、そこら中にある雑草などにマダニは沢山います。
そういった場所を住処としている野生動物(野良猫や野良犬など)は
マダニに寄生される可能性が非常に高く、マダニから感染症の菌を移されている可能性も高いです。


そういった野生動物だけでなく、ペットもマダニに寄生されることがあります。
お散歩やお出かけの際にマダニがペットの体に飛び移れば
寄生されて感染される可能性は十分にあるのです。

野良猫に噛まれ感染した死亡事件に関して

野良猫は野生の生き物なので、飼育されている猫と比べると
マダニ感染症の原因菌を保有している可能性が非常に高いです。

そして警戒心が強いため慣れていない人間に触られてしまうと
噛んだり引っかかれたりする可能性が高く、今回紹介する事件に関しても
同様の理由で野良猫に噛まれたと予想することが出来ます。

「弱っている野良猫を保護しようとした」と言われていますが
警戒心の強く感染症の菌を保有している野生動物に
しっかりとした準備をする事無く触ろうとするのは非常に危険です。

SNSやネットニュースなどで野良猫が原因で死亡したと騒がれていますが
この死亡事件の原因は野良猫に寄生したマダニにあります。
そして、マダニや感染症に関する知識が無い状態で保護しようとした
亡くなった女性にも責任があります。

野生動物の保護はそれほどハードルが高く
死の可能性も秘めている
という事を覚えておいてください。

猫のお話ではありませんが
野生動物を保護する際に参考に出来る記事があるので
こちらもあわせて読んでみてください。

保健所で犬はどう扱われている?引き取りたいときや迷い犬を見つけた時

2017.04.12

まとめ

7月24日に公表された労働省の感染症死亡事故について紹介しました。
野良猫や野良犬は基本的に保健所が管理していますが
捕まっていない野生の状態の犬や猫も少なからずいます。

野生動物でも可愛いので、つい触ってみたくなる
保護したくなる気持ちはわかりますが
彼らは感染症のリスクを持っている可能性があるという事を覚えておいてください。

もっと有名な感染症であるフィラリアについての記事も
併せて読んでおいてくださいね。

【獣医執筆】犬のフィラリア症状の予防と治療法について

2017.06.12
 
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犬や猫の健康維持には、ドッグフード・キャットフードの見直しや、効果的なペットサプリを活用することが大切!
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