猫のくしゃみが止まらない!原因と治療法まとめ

猫 くしゃみのアイキャッチ画像

大切な愛猫のくしゃみを見ると「風邪を引いたのかな・・・?」と心配になる飼い主さんも多いと思います。
こちらの記事では猫のくしゃみについて知識を紹介したいと思います。
くしゃみを連発していたり、長期間続いていたりする場合には体に異常をきたしていることが殆どです。
愛猫を病気から守るためにも原因を突き止めてみましょう。

猫のくしゃみの仕組み

くしゃみをする猫の画像
猫も人と同じように、空気中のゴミや刺激物、炎症などで鼻の粘膜が刺激されることによりくしゃみをします。
猫のくしゃみの仕草は人とよく似ており、鼻から勢いよく空気を吹き出し、大きな音をたてます。
その際に、顔を左右に振る動作を伴うこともよくあります。

猫はくしゃみをするときに「ハクション!」という声は出しません。
「ッシ!」と勢いよく空気が流れる音だけが聞こえるはずです。
人が静かな場所で、声を押し殺しながらしたくしゃみのような音をイメージして頂けたらと思います。

咳との違い

咳との見分け方は「口を閉じているか、開けているか」に注目するとわかりやすいかと思います。
口を閉じている場合はくしゃみの可能性が高まります。
動画を撮影して獣医師に相談するのも良いかもしれませんね。

生理的なくしゃみの原因

猫のくしゃみにも生理的なものと病的なものがあります。
生理的なくしゃみは、以下のような原因によって引き起こされます。

  • ホコリを吸ってしまった
  • 刺激物を吸ってしまった(コショウなど)
  • 花粉が粘膜に付着した

生理的なくしゃみの特徴は短時間で止まり、その後もケロッとしている事です。
特段心配する必要はありません

病的なくしゃみ

検査される猫の画像
病的なくしゃみの殆どは「鼻炎」を伴っています。

鼻炎とは
鼻の粘膜に炎症が起きている状態

猫も人間と同じように、アレルギー性鼻炎などにより鼻炎を患うのです。(花粉症等)
こちらでは、猫が鼻炎になる代表的な原因と、やや珍しい原因を紹介したいと思います。

猫ヘルペスウイルス感染症

【症状】くしゃみ、結膜炎、目ヤニ

「猫ヘルペスウイルス感染症」別名、猫ウイルス性鼻気管炎と呼ばれます。
くしゃみ以外にも、結膜炎や目ヤニなど眼の症状を伴うことが多い特徴を持っています。
完治しない病気でもある為、適切な対処が必要になります。
人の口唇ヘルペスと症状が似ています。

子猫に多い感染症の1つでもある為、子猫を飼育している家庭では注意が必要になります。

もちろん適切な治療により一時的に症状を抑える事は可能です。
しかし適切な治療を行っても、ストレス等が原因になり免疫力が低下すると再び症状が出てきます。
主な感染経路は、感染猫のだ液や鼻水への直接的な接触です。
感染している母猫から仔猫に感染することもあります。
主要な感染経路ではありませんが、ウイルスに汚染された環境(感染猫のケージ、食器など)からの感染もあり得ます。

猫カリシウイルス感染症

【症状】くしゃみ、口腔潰瘍(ただれ)

こちらも仔猫に多い感染症です。
ヘルペスウイルス感染症と比べると眼に症状をだす頻度は少なく、口腔内に潰瘍(ただれ)を伴う特徴があります。
慢性的な口内炎や歯肉炎を持つ猫がくしゃみをしていた場合、この病気が強く疑われます。
感染経路はヘルペスウイルスに似ており、主に猫同士の直接的な接触により感染します。
ただし、ケージや食器などを介した感染も少なくないため、それらを共有しないなどの注意が必要です。

ちなみにカリシウイルスとヘルペスウイルス、後述のクラミジアは、いわゆる「猫風邪」の代表的な原因です。
同時に感染していることも少なくありません。
どれか一つに対する治療を受けても治りが悪い場合には、獣医師に相談してみましょう。

猫エイズウイルス感染症

【症状】食欲減退、体重の低下、消化不全、脱水、胃腸炎、貧血、感染症のリスク上昇、腎不全のリスク上昇、免疫力の低下

猫エイズ、正式には猫後天性免疫不全症候群と呼ばれるネコ免疫不全ウイルス(FIV)により引き起こされる諸症状の名称です。
感染猫とのケンカ(咬み傷)、交配が原因となり感染することがほとんどです。
したがって、去勢避妊をしていない猫では感染リスクが高まります。
感染している母猫から、その仔猫に感染する可能性もあります。
ケージや食器を介した感染はまずありません。

また石鹸による消毒などで簡単に感染力を失うため、感染予防をしやすい病気といえます。
この病気の特徴は潜伏期間が非常に長いという点です。
※潜伏期間とは、感染してから発症するまでの時間をいいます。
この病気の潜伏期間は一般に数年間とされ、中には発症しないまま生を終える猫も存在します。

発症してしまうと、人のエイズ同様に免疫力が非常に弱くなります。
したがって、他のウイルスや細菌感染による鼻炎が起きやすくなってしまうのです(エイズウイルスが直接的に鼻炎を起こすことはありません)。
ひとたび発症してしまった場合には、残念ながら有効な治療法はありません。
他のウイルスや細菌などの感染があれば、それに対して治療を加える程度となります。

その他の鼻炎

上述の代表的な原因以外にも、猫の鼻炎には様々な原因があります。
具体的な例をこちらで解説します。

◆猫クラミジア感染症

【症状】結膜炎、目ヤニ、鼻炎

こちらはクラミジアという細菌が原因で発症する感染症です。
子猫に多く見られる特徴があります。
主な症状は結膜炎などの眼の症状であり、鼻炎症状が起こる頻度はかなり少ないとされます。
眼の症状は一般的に片方の眼から始まり、両眼に進行します。
この際にくしゃみを伴うのであれば、この感染症が原因の可能性もあるでしょう。

逆に言えば、眼に症状が無いのであれば、こちらの感染症である可能性は低いといえます。
感染経路は猫同士の直接的で密な接触(性交など)です。
特に目ヤニなどの眼からの分泌物が最も重要な感染源です。
ケージや食器を介しての感染はほぼありません。

◆真菌感染症

【症状】鼻炎、肉芽、顔の変形

真菌感染症の中で最も多いのは、クリプトコッカス症と呼ばれるものです。
ハトの糞が感染源となることが多いとされます。
健康な猫で問題となることはあまりなく、上述の猫エイズ感染症などで免疫力が弱っている猫で問題となります。
主な症状は鼻炎です。

稀に、鼻腔の中に肉芽(肉の塊)を作ってしまう例があります。
その場合、鼻の一部が異常に盛り上がるなどの顔面の変形が観察されることがあります。
繰り返しますが、免疫力が正常であれば真菌の感染はまず起きません。
真菌感染症が診断された場合、免疫力が低下している原因を探っていくことが重要です。

◆歯周炎

【症状】口臭、歯茎からの出血、咀嚼時の痛み、膿、鼻炎

重度の歯周炎でも鼻炎を起こします。
歯の病気で鼻炎というのは人ではあまり聞かず、意外に思われる方も多いかもしれません。
猫では、人と違い鼻腔と口腔の間の骨が薄いのです。
歯の根元までボロボロになるような重度の歯周炎では、鼻と口の間の骨も溶けてしまいます。
鼻腔と口腔がトンネルで繋がってしまい、だ液など様々なものが鼻に入ってしまい、鼻炎を起こすのです。

◆腫瘍

鼻腔内に腫瘍があると、腫瘍による圧迫や周囲の骨の破壊などが原因となり、鼻炎が起きます。
その結果、くしゃみが観察されることがあります。
猫で鼻腔内に腫瘍が発生することは非常に稀です。
しかし、高齢の猫でくしゃみと一緒に鼻血や顔面の変形が観察される場合には注意が必要です。

鼻腔内腫瘍は骨に囲われた場所にあるため、手術による治療が困難です。
抗がん剤や放射線療法が選択肢となります。

◆異物

非常に稀なケースですが、草の種などが鼻腔内に入り込む事があります。
嘔吐をした際の吐物が鼻腔内に入り、鼻炎を起こす事もあります。
草むらに顔を突っ込むのが好きな猫や、頻繁に嘔吐をしている猫では可能性があります。
ただし非常に稀なケースですので、まずは他の原因を疑ったほうがいいかも知れません。

猫のくしゃみを治療する為に自宅で行う事

くつろぐ猫の画像
自宅で出来る最も重要な事は、よく観察をすることです。
しぐさや症状を観察し、病的なくしゃみかどうかをなるべく早く判断する。
そして、病院に行く前になるべく多くの情報を集めておく。
病院を受診する前の情報を集めることは、質の高い治療に繋がります。

自己判断で人間の薬を与える事は非常に危険ですのでやめましょう。
人が普段何気なく飲むような風邪薬であっても、猫の命に関わる副作用をだすものもあります。
以下、猫がくしゃみをしている際に自宅で観察するべきポイントをご紹介します。
このくしゃみは生理的?病的?どのタイミングで病院に連れて行くべきなの?といった疑問の参考にして頂ければと思います。

どんなくしゃみをしているか観察する

まずくしゃみが長時間続くかどうか様子をみましょう。
生理的なくしゃみも病的なくしゃみも、くしゃみの仕草自体は殆ど変わりありません。
したがって、短時間観察しただけで病的かどうか判断することは獣医師でも困難です。
重要なポイントは、そのくしゃみは今後数日間続くのかどうかという点です。

また、くしゃみ以外の症状があるかどうかも重要な情報です。
具体的には鼻水、鼻血、眼の症状(充血、腫れぼったい、目ヤニ、涙が多いなど)、顔面の変形がないかといった点をよく観察しましょう。
特に鼻血、顔面の変形が観察された場合には、病的である可能性が高いです。
何日か続くようであれば病的なくしゃみの可能性がありますので、獣医師に相談しましょう。
その際、上述したようなくしゃみ以外の症状の有無を獣医師に伝えられるとベストです。

その他、獣医師に伝えるべき情報は

  • いつから
  • どれくらいの頻度で
  • 過去に似たような症状があったか

といった点が主になります。

動物病院で行われる3つの検査

検査を受ける猫の画像
くしゃみをする猫の検査は、主に以下の3つが考えられます。
なお、最終的な診断名は検査結果だけではわからないことがあります。
年齢、くしゃみ以外の症状、治療への反応性なども含めて総合的に判断されます。

鼻水の検査

鼻水(あるいは眼や口、鼻の粘膜など)にウイルスや細菌、真菌などの病原微生物がいるかどうか調べます。
感染症によるくしゃみが疑われる際には、主力となる検査です。
ウイルスや細菌の検査は、専門の検査機関に外注をする事になります。
そのため検査費用はやや高額であり、ヘルペス・カリシ・クラミジアのセットで15,000円~20,000円ほどが相場です。

真菌の検査に関しては、鼻水を顕微鏡で観察するだけですむことが多いです。
こちらは比較的簡単に行える検査ですので費用は安く、2,000円前後が相場かと思われます。

血液検査

血液検査で特定の病原体に対する抗体の有無を調べることがあります。
抗体は、病原体が感染した際にその病原体と戦うために産生されます。
そして抗体の形は戦うべき病原体ごとに異なっています。
つまり病原体Aには抗体Aが、病原体Bには抗体Bが戦いを挑むわけですね。

したがって、病原体Aに感染したことがあるかどうか知りたければ、抗体Aの有無を調べることが有効です。
この検査は猫エイズウイルス感染症が疑われる際に有力な検査となります。

院内で直ぐに診断することが可能な検査キットを扱っている病院も多くあります。
検査キットを用いた場合には、猫エイズウイルス感染症と猫白血病のセットで5,000円ほどの検査費を設定している病院が多いようです。
ちなみに、ヘルペスウイルスやカリシウイルスなど他の病原体に対する抗体を調べることも一応は可能です。
しかしワクチン接種歴がある場合には検査結果が影響を受けてしまうなど、様々な理由で実用的でないため実施される頻度は少ないのが現状です。

X線検査

歯周炎や腫瘍、異物、真菌感染などが疑われる際に実施します。
X線検査では、鼻腔を構成する骨などの構造の変化を捉えることができます。
歯周炎や腫瘍などでは、歯の周りの骨が溶けていたり、腫瘍によって顔の骨格が破壊さていたりといった変化を観察出来ます。
また腫瘍そのものを捉えることも出来ます。

異物や真菌感染の場合には、鼻腔内に肉芽(肉の塊)が盛り上がってくることがあります。
そういったケースでは、X線検査で肉芽という異常な構造を捉えることができます。
検査費用は1枚2,000~3,000円が相場です。
正確性を高めるために2枚撮影する場合が多いですので、総額6,000円前後を見積もっておくと良いかもしれません。

動物病院で行われる2つの治療

治療を受ける猫の画像
動物病院で行われる治療は、多くの場合で薬物療法が中心となります。
理想は原因を特定した上で、原因に応じた治療を加えることです。
ただし猫のくしゃみは原因を特定することが難しい為、治療を先に行い、効くか効かないかによって原因を推測していく手法がとられる場合もあります。

その場合には当然、「薬を使っているのに効かない!」という事態が起きることがあります。
これから使う薬は何に効く薬なのか、使う目的は何なのか、納得できるまで獣医師とコミュニケーションをとった上で治療を開始すれば思わぬ誤解を防ぐことができるでしょう。
それでは、具体的な治療の内容をご紹介します。

薬物療法

原因が特定あるいは推測できた際には、適切な薬の投与が行われます。
クラミジアなどの細菌に対しては抗生物質、ヘルペスやカリシなどのウイルスに対しては抗ウイルス薬、真菌に対しては抗真菌薬を投与します。
症状に応じて後述のインターフェロンが投与されます。
飲み薬を使う場合もあれば、外用薬(点眼や点鼻薬)や注射薬を使う場合もあります。

猫の状態や性格に合わせて、獣医師の判断により使い分けます。
腫瘍の場合には、抗がん剤による治療が選択肢の1つとなります。
薬物療法は使う薬の種類や体重により費用が大きく異なる為、治療を開始する前に獣医師に投薬費用の確認をする事が大切です。

なお、くしゃみを引き起こすほどの歯周炎は薬で治療できる範疇を超えている事が多い為、薬ではなく抜歯による治療が行われることが多いです。
抜歯は全身麻酔となりますので、費用もそれなりに高額となります。
病院によって幅が大きく一概には言えませんが、少なくとも20,000円を超えてくる覚悟はしておいたほうが良いかも知れません。

インターフェロンの投与

ウイルスに直接作用するある物ではありませんが、投与することによって猫の免疫に働きかけ、猫自身のウイルスと戦う力を高めます。
注射、あるいは点眼投与があり、副作用が少ないという特徴があります。
注射の場合は1本5,000円が相場となっており、体の大きな猫だと1回あたり10,000円ほどかかることもあります。
点眼投与の場合には、2,000~3,000円ほどが相場になります。

猫のくしゃみを予防する為にあなたが出来る事

抱っこされている猫の画像
最も重要なことは、猫の様子を何でもない普段からよく観察してあげることです。
予防とは少し違うかもしれませんが、ちょっとした違和感を見逃さないことが病気の早期発見、早期治療に繋がっていきます。
その上で、くしゃみを予防するためにとれる行動をご紹介します。

掃除

ホコリなどを猫が吸ってしまわないように掃除を徹底して下さい。
チリひとつないレベルまでは必要ないかと思われますが、少なくとも大きな綿ボコリが積もっている状況は避けましょう。
またベッド下など、どうしてもホコリがたまりやすい場所は、猫が潜り込めないように塞いでおくのがいいかもしれませんね。
また何匹か猫を飼っているご家庭で、くしゃみをする猫がでてしまった場合にも掃除は非常に重要です。
原因が感染症であった場合に、同居猫にも感染が拡大する可能性があります。
普段からケージや食器などの掃除を小まめに行っておくと、感染の拡大をある程度予防できるはずです。

ワクチン接種

猫ヘルペスウイルス感染症、および猫カリシウイルス感染症はワクチンが広く普及しています。
この2つのワクチンは「猫のコアワクチン」に含まれています。

「猫のコアワクチン」とは
世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインにおいて、生活環境に関わらず全ての猫で接種することが推奨されているワクチンを指します。

重要なのは「生活環境に関わらず全ての猫で」という点。
つまりは部屋の中だけで飼っており、外には全く出ない猫であっても接種が推奨されます。
これら2つの病気はワクチンを接種しても感染は防げませんが、重症化を防ぐことができます。
重症化し肺炎などを起こすと命に関わる状態になってしまう為、ワクチン接種は必ず行いましょう。

まとめ

以上、猫のくしゃみが止まらない場合の原因と治療法についてまとめました。
普段から猫の様子をよく観察して頂き、思わぬ異常を見落とさないようにできると良いですね。

 
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ABOUTこの記事をかいた人
東山かおる

愛犬・愛猫の健康と長生きのためにできることをブログにしています。
犬や猫の健康維持には、ドッグフード・キャットフードの見直しや、効果的なペットサプリを活用することが大切!
毎日ペットと何気なく接している飼い主さんは、愛犬・愛猫の様子を注意深く見てあげてください。
ドッグフードを美味しそうに食べていますか?キャットフードを食べ残していませんか?
ただ可愛がるだけじゃなく、全身をよく撫でて皮膚の様子もチェックしてあげましょう。
(犬や猫は言葉を話せなくても、あなたに向けてサインを送っています!)
犬と猫、そして飼い主さんの楽しいペットライフのために、これからも皆さんのお役に立てる記事を書いていきたいと思います。