ネクス ガードスペクトラの評判は?現役獣医がお答えします!

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管理人
この記事は獣医さんが執筆しました。

ネクスガードスペクトラは、2016年に発売されたチュアブル(おやつ)タイプの予防薬です。
比較的新しい薬であることもあり、「使ってみたいけど…どういった薬なの?」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事ではネクスガードスペクトラについて詳しく紹介致します。

ネクスガードスペクトラの成分

この予防薬は「オールインワン」と呼ばれるタイプであり、毎月1回の投与でフィラリア症、消化管内寄生虫(回虫・鉤虫・鞭中)、ノミ・マダニの予防すべてを行うことができます。
これだけの広い予防効果を持たせるために、ネクスガードスペクトラにはミルベマイシンオキシムとアフォキソラネルという2つの有効成分が配合されています。
まずはその2つの成分それぞれについて、概要をご紹介します。

ミルベマイシンオキシム

ミルベマイシンオキシムはフィラリア症の予防および消化管内寄生虫の駆除効果を持たせるために配合されている成分です。
この成分単体は長い使用実績を誇り、20年以上に渡って使用され続けてきています。
高い安全性を誇り、かつ長年の実績に裏付けられた信頼性も特徴の成分です。

アフォキソラネル

アフォキソラネルはノミ・マダニを駆除し、寄生による被害を予防するために配合されている成分です。
イソオキサゾリン系と呼ばれる新しい駆虫薬の系統であり、ネクスガードスペクトラを特徴づける成分です。
新規に開発されており、高い効果と安全性を併せ持った成分です。
ちなみにイソオキサゾリン系の成分が採用されたのは、動物用医薬品においてネクスガードスペクトラが初めてです。

副作用について

ネクスガードスペクトラに用いられている2つの有効成分は非常に安全性が高いことで知られています。
それぞれについて、詳細をご紹介します。

ミルベマイシンオキシムの副作用

一般に重篤な副作用は報告されていません。
ごく稀に軟便や下痢といった消化器症状がでることがありますが、発現率は0.3%以下とされます。
ただし、妊娠中あるいは授乳中の犬への投与は推奨されていません。
またコリー犬およびその系統の犬種については、他の犬種と比べ安全域が狭い、つまり他の犬種より少ない用量でも副作用を発現してしまうことが示されています。

用法用量内の投与であれば安全性が確認されているため、これらの犬種への投与時は定められた用法用量を特に厳密に守るよう注意しましょう。
なお、既にフィラリアに感染している犬に投与した場合は元気消失や食欲不振、嘔吐、呼吸速迫、大静脈症候群(注1)といった特別な副作用が発現することがあります。
毎年の予防シーズンの初回投与前には、必ず血液検査でフィラリア感染が無いことを確認した上で投与を始めましょう。

注釈1 「大静脈症候群とは」
死んだ虫体が心臓内や大血管に詰まることにより引き起こされる
非常に危険かつ緊急治療が必要な症状

アフォキソラネルの副作用

アフォキソラネルについても重篤な副作用は報告されていません。
軽微な副作用について、アメリカ食品医薬局のデータに基づけば嘔吐4.1%、皮膚の乾燥3.1%、下痢3.1%、嗜眠1.7%、食欲不振1.2%とされています。
フィラリア症とは異なり、既にノミ・マダニに感染している犬に投与したとしても特別な副作用は起こさず、迅速にノミ・マダニを駆除します。また万が一上述の副作用が発現したとしても、一過性に終わることが多いようです。

その他の副作用

ネクスガードスペクトラには大豆由来の成分が含まれています。
大豆に対する食物アレルギーを持っている犬にネクスガードスペクトラを投与した場合には、皮膚の痒みや軟便、下痢などの症状が発現する可能性が考えられます。
食物アレルギーの疑いがある犬、あるいは食物アレルギーに対する療法食を給与されている犬への投与は避けたほうが無難だといえます。

もし副作用が発現した場合には

フィラリア感染犬に投与してしまった場合には、重篤な副作用が発現する可能性があります。
その年の予防シーズンの初回投与前にフィラリア感染の有無を検査していなかった、実は投与し忘れていた月があったなど、フィラリアに感染していた可能性が考えられる場合には直ちに動物病院を受診しましょう。

それ以外の場合では、重篤化する可能性は低いといえます。
食欲元気があるのであれば自宅で様子をみることも可能でしょう。
ただし観察は怠らずに、悪化するような様子があれば獣医師に相談しましょう。

ネクスガードスペクトラの薬理

ネクスガードスペクトラの予防あるいは駆除対象であるフィラリア、消化管内寄生虫、ノミ・マダニは無脊椎動物というグループに含まれます。
一方、我々ヒトやイヌのような哺乳類が含まれるのは脊椎動物というグループです。
無脊椎動物と脊椎動物の間には、進化の過程で非常に大きな隔たりが生まれています。

ネクスガードスペクトラに含まれる2つの有効成分は無脊椎動物の特定の神経伝達物質受容体に作用してその効果を発揮する一方で、脊椎動物の神経伝達物質受容体にはほとんど作用しません。
そのために、高い効果と安全性を兼ね備えることができているのです。

なお経伝達物質受容体とは、特定の生体内シグナルを受信して筋細胞や神経細胞を興奮させるはたらきをもつ、いわばリモコンの受信器のようなものです。
それでは、それぞれの成分がはたらく仕組みと効果についてより詳しくご紹介します。

ミルベマイシンオキシムの薬理

フィラリアや回虫、鉤虫、鞭虫は寄生虫学での分類上は線虫というグループに分類されます。
ミルベマイシンオキシムは線虫類の神経・筋細胞に存在する神経伝達物質受容体に結合し、誤作動を起こさせます。
その結果、神経細胞や筋細胞が適切にはたらけなくなるため線虫類は麻痺を起こして死滅します。
適切に使用した場合のフィラリア症の予防効果は100%です。

また通常投与量での回虫、鉤虫の駆除率も100%に近いことが試験で確かめられています。
通常投与量における鞭虫の駆除率は回虫、鉤虫には劣りますが70%近くとされます。

アフォキソラネルの薬理

アフォキソラネルは、ノミ・マダニの中枢神経系に分布する神経伝達物質受容体に結合し神経細胞に誤作動を引き起こします。
その結果、ノミ・マダニは異常興奮を引き起こされ死滅します。

アフォキソラネルは投与後30分以内でノミを駆除し始め、8時間以内に100%の駆除率を発揮します。
その効果は少なくとも35日間は継続するとされています。
またマダニに対しては投与後48時間以内に100%の駆除率を発揮し、30日後においても90%以上の駆除率を保ちます。

獣医目線で良い薬か、悪い薬か

獣医と猫の画像
獣医師の視点から考えると、ネクスガードスペクトラは非常によい薬であるといえます。
第一に幅広い効果と高い安全性を兼ね備えていることがその根拠です。
次に、投与をしやすいという点も優れています。
ネクスガードスペクトラはチュアブルタイプと呼ばれる、嗜好性が高くおやつ感覚で与えられる薬です。

「錠剤タイプだとなかなか飲んでくれなくて…毎月の予防が憂うつ」という飼い主様にもおすすめです。
幅広くかつよく効き、安全性も高く、投与しやすい。
値段も他の予防薬から並外れて高いわけでもなく、非常に処方しやすい薬といえます。

病院で処方されるそのほかの薬との比較

これまでネクスガードスペクトラについて詳しくご紹介してきました。
しかし動物病院で購入できる予防薬の種類はたくさんあり、結局のところどれがいいのか迷ってしまう飼い主様も多いのではないでしょうか。
ネクスガードスペクトラは、ほかの薬と比べてなにが異なっているのでしょうか。
ネクスガードスペクトラの最大の利点は、一粒でフィラリア症や消化管内寄生虫、ノミ・マダニの予防駆除を同時に行え、かつチュアブルタイプなので投与もしやすい点です。
実は病院で処方されるフィラリア予防薬やノミ・マダニ予防薬の間に、月1回の投与程度で問題となるほどの大きな効果や安全性の差はありません。

したがって、選択の基準となるポイントは

  • フィラリアだけ予防したいのか、ノミ・マダニも同時に予防したいのか
  • 割安な錠剤タイプがいいのか、投与が楽なチュアブルタイプがいいのか
  • 消化管内寄生虫に対する効果も欲しいのか

の3点です。

「多少割高であってもいいから、幅広く予防したい!それに投与の手間も減らしたい!」という場合にはネクスガードスペクトラが最有力の候補でしょう。
そうでない場合であっても、上述の3つのポイントについて考えを決めてから動物病院に行けば予防薬の選択で迷うことはないはずです。

まとめ

フィラリア症は命に関わる病気であり、治療するにしても大きなリスクと手間を伴います。
治療行為によって死亡してしまうリスクさえはらんでいるのです。
月に1回の予防薬投与を行うだけで、このおそろしい病気を確実に防ぐことができます。

またノミ・マダニは吸血による直接の害だけではなく、病気を媒介する点にもおそろしさがあります。
媒介される病気の中には犬特有の病気だけではなく、近年話題となったSFTS(重症熱性血小板減少症候群)のようなヒトの健康さえ脅かす病気もあります。
ネクスガードスペクトラは、犬だけでなくヒトも含めた家族の健康を守る上で心強い味方となってくれるでしょう。

 
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ABOUTこの記事をかいた人
東山かおる

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